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死別・仏事

「私、最愛の夫を亡くしました」死別の悲しみの底から立ち上がった女性の体験

コロナで亡くなった志村けんさん、岡江久美子さん、
自殺とささやかれる竹内結子さん、三浦春馬さん……。
有名人の突然の訃報に、私たちは驚きます。
しかし、何より衝撃を受けるのは、身近な人の死でしょう。
それが永年、連れ添った伴侶となれば、格別です。

「突然発作的に涙が止まらなくなって、悲しみで胸が痛くなります」

「夫が亡くなってから自分を見失ってしまい、この1年どうやって過ごしてきたのかよく覚えていません」

こんな嘆きが、ネット上にも満ちています。

本間順子さんも、一昨年、ご主人を亡くしてからは、涙の底に沈んでいたと言われます。それが今では、自然な笑顔で明るい毎日を過ごせるようになりました。わずかな期間に、なぜそこまで変われたのか。本間さんに語ってもらいました。

アウトドア好きな自慢の夫

紳士的で優しい夫との生活は、幸せに満ちていました。アウトドア好きで、釣りやキャンプによく私を連れていってくれました。また、旅先では市町村史を調べたり、1冊数万円の専門書をひもとくほど、歴史に造詣の深かった夫とは、いつも話題が尽きませんでした。

その夫が54歳の時、営業先の県庁で突然倒れたのです。脳梗塞でした。一命は取り留めたものの、医師からは、右半身は2度と動かせないと告げられました。
それから、主人の懸命のリハビリが始まりました。
左手で箸を持って豆をつまんだり、病院の消灯時間ギリギリまで、
「畜生、畜生、なんでこんな病気になったのか!」
と繰り返しながらも、廊下の手すりをつたって必死に歩く練習もしていました。
その姿に胸が痛みましたが、やがて、右利きなのに、
「左利きでよかったね」
と言われるまでに左手が動かせるようになり、杖をつけば歩けるまでに快復したのです。

不自由な体でまた、山登りを一緒に楽しむようになりました。少しでも収入を得ようと、首から袋を下げ、広告用の新聞を配り歩くようにもなったのです。山で擦れ違う人、ポスティングで訪れた家の人からも、「頑張っているね」と声をかけられ、そんな夫を誇らしく思いました。

悲しみは波のように

ところが6年前、脳梗塞が再発してしまったのです。
脳幹部分が損傷し、車椅子の生活を余儀なくされました。ヘルパーの力を借りながらとはいえ、成人男性の入浴や下の世話をするのは大変でした。それでも、就寝前に必ず、「今日も1日ありがとう」と声をかけてくれる夫に、介護の張り合いを感じていたのです。

そんな生活が4年続いた一昨年の3月末、夫は後生へ旅立っていきました。告別式は、エイプリルフールといわれる4月1日。ウソだったらどんなにいいか……と思わずにおれませんでした。

それからというもの、
「何で。何で私を置いていくのよ……」
と、仏壇の前で泣き暮らす日々が続きました。悲しみは波のように繰り返し、髪を洗っている時にも突然、涙があふれ出てきます。公民館の行事に出掛け、友人と交流しても、帰宅後は余計につらくなりました。

夫の愛読書『歎異抄』が導いてくれた

そんな昨年1月、夫が愛読していた『歎異抄』の講演があることをチラシで知り、ふと、参加してみようという気になったのです。

そこで、お釈迦さまの説かれた「四苦八苦」について教えていただきました。これは、いつどこに生まれた人も逃れられぬ八つの苦しみを示されたお言葉と聞きました。

①生苦……生きる苦しみ
②老苦……老いる苦しみ
③病苦……病の苦しみ
④死苦……死ぬ苦しみ
⑤愛別離苦……愛する人や物と別れる苦しみ
⑥怨憎会苦……嫌いな人や物と会う苦しみ
⑦求不得苦……求めるものが得られぬ苦しみ
⑧五陰盛苦……前の7つをまとめたもので、肉体あるがゆえに、
       それらの苦しみがやってくるということ

中でも、「愛別離苦」の説明は、その時、感じていた苦しみそのものでした。
講師は、こう教えてくださいました。
     *       *
私たちは、いろいろなものを頼りに生きています。言い換えれば、何かを信じ、愛し、明かりにしながら暮らしているのです。その大事にしている「人」や「物」を失った時、誰しも、苦悩に襲われます。
幼い頃、お気に入りの自転車やゲームを、友達に奪われたり、なくしたりして落ち込んだことはありませんか。仲の良かった友人と離れ離れになる卒業式には、涙を流した記憶があるかもしれません。思い出を刻んだマイホームは、風雨にさらされ朽ちていく。津波や洪水で一夜にして流されてしまうこともあります。縁あって籍を入れたパートナーとも、親とも子とも、生き別れもあれば、死に別れもあるでしょう。愛する気持ちが強いほど、永遠の別離のショックは、計り知れぬものとなるのです。
  

   *       *

“じゃあ、そんな苦しい人生、どうすれば幸せになれるの……?”
釘付けになって、講話を聞かずにおれなかったのです。
そこに集っていた人たちも、とても温かく声を掛けてくださり、
「また、あの人たちに会いたい」
という思いも半分、講座に続けて足を運ぶようになりました。

「もう間違えない」

それまでは、「愛するものがあれば、幸福に生きられる」と思っていました。
しかし、続けて聞かせていただくうちに、諸行無常といわれるように、この世に裏切らないもの、永遠に続くものなどないことが知らされてきたのです。その後、手に取った『歎異抄』には、こうありました。
「万のこと皆もってそらごと・たわごと・真実あることなし」(後序)
このお言葉のとおり、この世のことは、やがて私を裏切っていくものばかり。つらく、苦しいのは、永遠には続かないものを信じ切っていたからだと分かったのです。どんなに大事にしていても、いつか必ず私から離れていくものにすがれば、また同じ悲しみを際限なく繰り返すことになります。
私は、そんなはかない世にあって、永久に崩れぬ真実が、仏法に説かれていることを知りました。夫が身をもって、「この世は無常なんだよ。今度こそ、裏切ることのない真実を信じ切る身となりなさいよ」と、私をこのご縁に押し出してくれたのだと思わずにおれなくなったのです。

居間には、『歎異抄』後序の「万のこと皆もって~」のお言葉を掲げています。それを目にするたび、「本当にそうだなあ……」と思いながら、亡き夫をしのんでいます。
この集まりの中から、心の通い合う、素晴らしい友達もできました。時に、自宅に泊めて、深夜までこの真実に出遇えた喜びを語り合っています。

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