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悪人正機説で有名な『歎異抄』 基礎知識と魅力

『歎異抄』は、親鸞聖人の肉声を伝える格調高い名文として、思想家、哲学者、作家をはじめ、多くの人々に親しまれ、称賛されてきました。その不朽のベストセラー『歎異抄』をひもといてみたいと思います。

悪人正機説で有名な『歎異抄』

  

歎異抄 旅に持ち来て 虫の声(吉川英治)

親鸞聖人を敬慕し、小説『親鸞』を著した吉川氏のように、今日でも多くの人々が、”一度は読みたい”と願う書が『歎異抄(たんにしょう)』です。『歎異抄』は、親鸞聖人の肉声を伝える格調高い名文として、思想家、哲学者、作家をはじめ、多くの人々に親しまれ、称賛されてきました。
今回は、その不朽のベストセラー『歎異抄』をひもといてみたいと思います。

『歎異抄』基礎知識

Q1 『歎異抄』が成立したのはいつごろか

A1 約700年前、鎌倉時代

『歎異抄』が成立したのは、親鸞聖人が亡くなられた後のことです。
今からおよそ700年前、鎌倉時代中期といわれています。
親鸞聖人は今から約800年前、承安3年(1173)に生まれ、90歳まで長生きされました。

Q2 『歎異抄』の著者はだれ?

A2 現在もハッキリしませんが、親鸞聖人の弟子・唯円であろうといわれています

『歎異抄』は親鸞聖人自身が書かれたものではありません。
親鸞聖人がおっしゃった言葉を、弟子が書き留めたものです。
高弟の唯円とする説が一般的です。

Q3 『歎異抄』が書かれた目的は?

A3 親鸞聖人の教えと異なるさまざまな邪説を、聖人のお言葉によって正すため

『歎異抄』とは、「異なるを歎いた書」ということです。序文に、

“ひそかに愚かな思いを廻らし、親鸞聖人ご在世と、今日をみるに、直に聖人のご教授なされた真実信心と、異なることが説かれているのは、嘆かわしい限りである”

(原文)
ひそかに愚案を廻らして、ほぼ古今を勘うるに、先師の口伝の真信に異なることを歎き)

とあるように、聖人亡き後、仰せと異なることを言いふらす者が多く出現しました。著者はそれら異説の誤りを、聖人から直接お聞きした言葉を物差しとして、正そうとしたのです。

Q4 『歎異抄』は全部で何章あるか

A4 18章

『歎異抄』は18章から成ります。
さらに、1章の前に序文、10章のあとに別序、18章のあとに後序と流刑にまつわる記録があります。前10章が肝心。

『歎異抄』の構成

1 序文
2 第1章~ 第10章
3 別序(11章以降の序文)
4 第11章~第18章
  1~10章の聖人のお言葉を物差しとして、異説を批判
5 後序
6 流罪にまつわる記録(聖人35歳の時に遭われた越後流刑についての記録)

『歎異抄』の魅力

『歎異抄』の魅力は、まずその流麗な文章にあります。全文を暗唱する愛読者もあるほどです。

総刊行数、5400冊以上の岩波文庫において、昭和6年に刊行された『歎異抄』は、今日まで117万部以上を売り上げ、多く読まれた本ベストテンに入っています。これほど多くの読者を持つ日本の古典作品は異数ともいえましょう。
一方、有名な悪人正機説「善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」(第3章)に象徴されるように、『歎異抄』は全編が謎めいた逆説に満ちています。浄土真宗の学者をはじめ、多くの評論家、思想家がこぞって独自の解釈を発表し、これまで、さまざまな解説本が、毎年十数冊のペースで発刊されてきました。国内最大の蔵書数を誇る国立国会図書館にある『歎異抄』の関連本は、700冊以上といわれます。

また、日本にとどまらず、英語、中国語、韓国語、フランス語、ロシア語、ドイツ語、ポルトゲス、スペイン語、ポーランド語訳、エスペラント語訳など多くの言語に翻訳され、世界中で愛読されています。

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