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子供を亡くした悲しみに沈んでいる方へ 死別の悲しみを乗り越える5つの方法

福井県の伊藤正行さん(85)は、30歳の時、わずか5歳の息子を事故で失いました。
「今でも毎日、息子のことを思っています」と語られます。その一方で、「でも、その息子のおかげで、いちばん大切なことを知らされました」と感謝し、笑顔で生活できるようになったと言います。深い悲しみが笑顔に変わった体験を聞きました。

子供を亡くす悲しみは特に深い

死別の悲しみは、深いものです。中でも、わが子を失う悲しみは、特に深いと言われます。

「昨年、中学1年の娘が、突然の事故で亡くなりました。子供とかかわる喜怒哀楽を奪われた今、何を励みに生きていけばいいのでしょうか」

「最愛の長男を約半年前に亡くしました。その日から毎日が生き地獄です。苦しくて、もう生きていけない。そう思って、自殺を図りましたが、失敗しました。生きる意味のない私が、何故生きねばならないのか、分かりません」

などなど……。息をすることさえつらい、と言う人さえあるほどです。

子供を亡くしてつらいのは……

子供を亡くすと、なぜ、そんなにつらいのでしょうか。

大きく3つの理由があります。

1つ目の理由は、ほとんどの場合、心の準備ができていないからです。

1歳~19歳の死因のトップは、交通事故、溺死などの事故によるものです。つまり、子供を亡くした場合、そのほとんどは、突然、ふりかかった不幸なのです。心の準備の全くないまま、いきなり大切なわが子を失うのですから、そのショックたるや、想像に余りあります。

2つ目は、子供を失うと自分の一部を失ったように感じられるからです

子供は、自分や伴侶と似たところがあるもの。
いつしか、子供の将来に、自分の夢を重ねていることもあるでしょう。子供を失うと、未来を絶たれたような、自分の一部が失われたような気持ちになると、グリーフカウンセラーの日高りえさんは、語っています。

3つ目が自責の念にさいなまれるから。

「こうしておけば、あの子は死なずに済んだかもしれない」
といった思いも、わき上がってくるでしょう。
事故ならば、
「私が目を離さなかったら……」
「もっと注意していれば……」、
病気でも、
「早く、異常に気付いていれば……」
「私が丈夫に生んでやれなかったから」
などと、自分を責め、苦しむのです。

子供を亡くした悲しみを乗り越えるための5つの方法

では、それほどの悲しみを乗り越えるには、どうすればよいのでしょう。専門家の意見を5つにまとめました。

(その1)ひらすら悲しみ、ひらすら話しましょう

葬儀でワッと泣き叫ぶ親のほうが、立ち直りが早いと言われます。悲しみは一人で抱え込まず、思い切り泣き、また、誰か、聞いてくれる人に、ひたすら話しましょう。

(その2)心に子供の居場所を作りましょう

亡くなっても、その子が生前、与えてくれた喜びは、計り知れないと思います。無理に忘れようとするのではなく、自分の人生の中で、大切な存在だったわが子の居場所を、心の中に作りましょう。

(その3)男女の差を理解しましょう

父親と母親、つまり、男性と女性とでは、悲しみの表現の仕方に差があります。
男性は、感情を露わにするのは男らしくない、と思って、感情を押し殺しがちです。
母親が、そんな父親を見て、薄情な人だと思うのは、勘違いです。
男性は、じっと我慢していることが多いと、理解しましょう。
逆に、母親は、悲しみに沈み、殻に閉じこもる傾向にあります。
そんな母親には、理屈で説得するのではなく、何も言わずに共感してあげましょう。
そのような男女差をよく知れば、夫婦の行き違いも防げるはずです。

(その4)悲しみはやがて思い出に

どんな悲しみも、時間とともに、和らいでくるものです。心が落ち着くまでに、1年掛かる人、3年、5年、10年と掛かる人もあるでしょうが、それでも、どん底の気分がずっと続くことはありません。子供と過ごした掛け替えのない時間は、やがて、懐かしく、キラキラ光る貴重な思い出となる日が必ずきます。

(その5)悲しみを幸せへのステップに

最後に、今のおつらい思い、悲しみを幸せへのステップにする方法をご紹介しましょう。福井県の伊藤正行さん(85)は、わが子をわずか5歳で亡くしました。その悲しみから立ち直り、笑顔で過ごせるようになった体験を語ってもらいました。

わが子を亡くした私は、悲しみをこう乗り越えた

私は、浄土真宗の中興上人といわれる蓮如上人ゆかりの地、福井県の越前町に生を受けました。近くに真宗十派の本山が4カ寺もあり、寺との関わりの強い土地でした。

結婚して間もなく、長男の進が生まれました。
進が5歳になった時、私の母がガンを患いました。何を思ったのか、進が、その母の薬を飲みたいと言いだしました。
「にがいから、やめておきなさい」
といくら言っても、聞きません。医師に、少しならいいと言われ、与えました。進は、顔をしかめながらも、
「ああ、おいしい」
と言って飲みました。強情だけど、我慢強い子や、将来は何になるのだろうと、頼もしく、思ったものです。
そのうち、医師から、
「お母さんは、もって、あと数日でしょう」
と告げられました。痩せ細った姿に、私たちは、母の最期を看取る覚悟をしたのです。

病床の母より先に……

そんなある日、思いもしない事件が起きました。
家の裏山に、大きなため池があります。
「危ないから、絶対に近づいてはいけないよ」
と、常日頃、子供に言い聞かせておりました。
ところが、友達に誘われ、3、4人で池に遊びに行ってしまったのです。
「おじちゃん、進君が……、進君が池に落ちて沈んじゃった!」
泣き叫ぶ友達の知らせを聞いて、あわてて池へ駆けつけました。池のほとりにポツンと置いてある靴は、間違いなく、息子のものです。でも、姿はどこにも見当たりません。そのうち、村人たちも駆けつけてくれ、皆で池に潜って捜しました。
何分経ったでしょうか……、ようやく引き上げられた時は、すでに遅く、息子の顔は真っ白で、事切れていたのです。救急隊員が懸命に救命措置をしてくれましたが、いくら続けてもピクリともしません。私は断腸の思いで、
「やめてください。もういいです……!」
と叫んでいました。

息子はどこへ行ったのか

「朝(あした)には紅顔ありて、夕(ゆうべ)には白骨となれる身なり」

法事などで耳にしていた、蓮如上人の『白骨の章』のお言葉のとおりでした。ガンの宣告を受けた母より先に、元気な5歳の子供があっという間に亡くなってしまうとは、誰が予想したでしょう。

お通夜、葬式、野辺送りの中でも、
「かわいそうに、つらかっただろう……。死んであの子は、どこへ行ったのだろう」
と考えずにおれませんでした。しかし、住職に尋ねても、ハッキリ答えてくれません。

息子の魂の行く先を知りたい一心で、ある新興宗教に迷い、勧められるままに、静岡や東京の宗教施設まで出掛けました。しかし、さっぱり分かりません。知人の誘いで別の宗教に入り、今度は、滋賀県の本部まで行きましたが、死んだらどうなるかは、やはり、分かりませんでした。

この世で後生がハッキリするとは……!

「後生のことを教えてくれる人は、誰もないのか……」
とあきらめかけていた時、浄土真宗親鸞会の講演会のチラシが届いたのです。期待を胸に会場の公民館へ向かいました。その日の法話を聞いて、驚きました。親鸞聖人の教えによって、死んだらどうなるか、この世でハッキリ分かる身に救われる。現在から未来永劫、絶対の幸福に生かされると教えられたのです。
「死んでからではない。生きている今、後生がハッキリするとは……!」
これは真剣に聞かなあかん、と、それまで聞いていた宗教をスパッと止めて、親鸞会に入らせていただきました。

続けてお聞きするうち、仏法を聞いて、後生明るい身になれば、息子がどんな世界に迷っていようとも、死んだあと、仏になって、済度する縁になれることも知りました。
浄土真宗の門徒でありながら、親鸞聖人の本当の教えにあうまで、40年間、回り道をしてきました。ようやく真実にたどり着くことができた喜びは、格別です。
「息子よ。おまえのおかげで、底知れぬ深い教えを知ることができた。必ず、後生明るい身になって、おまえが助かる縁になるからね」
今は、真実の仏法に出遇えた喜びで、そう叫びたい気持ちでいっぱいです。

伊藤さんはまさに、「悲しみを幸せのステップに」転じて、イキイキと仏法を聞き求めています。伊藤さんをおお変わりさせた親鸞聖人のみ教えを、あなたも聞いてみませんか。
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