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体験談

あの日『歎異抄』を開いてなかったら 本当の親鸞聖人の教えには遇えなかった

『歎異抄をひらく』発刊から間もなく、仏縁を結ばれた秋山さんの、仏法との出遇いを聞いてみましょう。

親鸞学徒 秋山 功造さん(東京都)

 昭和のはじめに生を受けました。23歳で学業を終え、運輸・倉庫業の会社で輸出関係の業務を担当いたしました。

 やがて東京に転勤し、営業に携わったあと、人事・労務業務に替わりました。労働組合との交渉、人事評価、人事異動など、いずれも神経を擦り減らす仕事で、毎晩、酒でストレスを解消していました。

 それがもとで40代で狭心症をおこし、60歳を過ぎて心臓冠動脈のバイパス手術をし、死線をさまよいました。

 手術は成功したものの、今度は後遺症の慢性骨髄性白血病に苦しみました。治療薬のインターフェロンが効かなかったため、輸血に頼るほかありません。毎週1回、輸血を続けました。

 それでも病状は悪化し、急性白血病になりかけました。ちょうどその時、アメリカで特効薬が開発されたのです。ところが、日本では厚生労働省の許可が出ず、個人輸入し、医師の指導で服用を始めました。費用が月30万円余りかかり、このままでは家計が破綻すると家族は心配したそうです。

 幸いにも3カ月ほどして、輸入が許可され、健康保険の適用も認められました。

 3回も命を助けられた経験から、「この世には人知を超えた何かがある」と感じるようになりました。しかし、助かったこの命をどう生かすか?そもそも、私は何のために生まれたのか、生きているのか?苦しくとも生きるのはなぜなのか?考えずにはおれませんでした。

電車での出会い

 実家が浄土真宗だったことから、法然上人や親鸞聖人の浄土思想を勉強してみることにしました。親鸞聖人といえば『歎異抄』。しかし、本を読むだけでは到底、深い教えが分かるはずもありません。

 そんなある日、私は京王線新宿行き快速電車に乗り、『歎異抄』を読んでいました。終点の新宿駅が近づいた頃、隣のご婦人から「読書中、失礼ですが」と声をかけられました。

「歎異抄の文字が見えましたので。私の家で『歎異抄』の勉強会がありますから一度来られませんか?」と言われたのです。ご婦人は岩田澄代さんといい、見ず知らずの方でしたが、何かあると感じ、早速、勧められるまま親鸞会の勉強会に足を運んだのです。

如来のお導き

 勉強会に参加して驚きました。今まで何冊『歎異抄』の解説書を読んでも分からなかった生きる目的が、こんなにハッキリ説かれているとは……。

 この世でハッキリ救われる、平生業成の教えに驚き、身の震える感動を覚えました。。

 思えば3回も死線をさまよいながら生き永らえ、あの日、快速電車に乗っていなかったら、親鸞学徒の岩田さんが隣に座っておられなかったら、私が『歎異抄』を拝読していなかったら、本当の親鸞聖人の教えとの出遇いは毛頭ありませんでした。幾つも重なったご縁の全てを、無上仏(阿弥陀如来)のお導きと感謝しています。

 だからこそ、80歳になっても元気いっぱい、喜びいっぱい聞法に励まずにおれません。これからも光明輝く浄土に向かって、進ませていただきます。

(※プライバシー保護のため、個人名は仮名にしてあります)

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